誰かの相談を受けた時、気づいたら「こうしてみたら?」とアドバイスしている、なんてことはありませんか?
あるいは、お子さんが食事をしている時などに、「コップを倒しそう」「洋服を汚しそう」と先回りして直したり、整えたりした経験はありませんか?
今回は、そんな人の中で何が起きているのかを書いていくとともに、解決策もお伝えします。
アドバイスすることで〇〇が上がる?
人の問題や悩みを解決してあげようとしている時、その人の中では何が起きているのでしょう?
本人は良かれと思っていますし、悪気がないのはよくわかります。
その前提で、そうした人がアドバイスをすることで得ようとしているものがあります。
それは「私には価値がある」という感覚。
相談した人よりも経験があるから、知識があるから、それを教えてあげたいし、それで解決したらいいよね。
ありがとうって言われるのもうれしいし。
そんな想いが奥の方にあると思います。
これ、ストレートに言ってしまえば、「ありがとうって感謝されたり、すごいねって尊敬されたら、私って価値があるって思えるよね」ということ。
つまり、本人のかわりに解決してあげようとすることで、少なからず自己肯定感を上げているのです。

私たちは自己肯定感が低い時、2つの行動を取りやすくなります。
・自分よりすごい!と思える人と比較して「どうせ私なんて」と必要以上に自分を卑下する
人の問題を解決しようとしている時には、前者が働いています。
では、人の問題にアドバイスし続ければ、その人の自己肯定感は上がるのか、というと、そういうわけでもありません。
ここで得られるのは優越感。 その時は気分が良かったり、自分への信頼感が上がっているようでも、本当のところ自己肯定感は上がっていません。
だからまた同じように繰り返してしまいます。
では、どうしたら自己肯定感は高まるのでしょう?

必要な言葉を自分にかける
私たちは人から受けた言葉に大きな影響を受けています。
そして、そうした言葉たちの中には、言われたことに気づいているものも、気づいていないものもありますが、私たちの潜在意識の中には間違いなく蓄積されているものです。
そうした言葉の中には、自己肯定感を下げてしまうものもありますね。
自己肯定感について少し説明すると、自分には十分な価値があり、何があっても大丈夫だと信じている感覚、と私はお伝えしています。
赤ちゃんの頃は誰もがこの感覚を持っていますが、成長とともに人との関わりや体験によって変化していきます。
そこで影響しているものの一つが【言葉】です。
小さな頃、親から言われた何気ない言葉を長い間引きずってきた、という方がいます。
私自身、母から言われた「本当に遅いんだから!」という言葉を思い出しては「私は遅いからダメなんだなぁ」と落ち込んでいました。
母にとっては何気なく言っただけの言葉かもしれませんが、子どもだった私にはグサッとくる言葉だったのですね。

そして勝手に、遅い=ダメ、という思い込みすら作っていました。
もちろん、当時の自分は無意識に事実だと思っていたのですが。
言葉は上書きできる
ここまで読んで、「過去の言葉で今の自分ができているなら、取り戻すことはできないの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
過去にもらった言葉は消すことはできないけど、別の言葉で上書きすることはできるからです。
私たちの脳は、後から入ってきた言葉でも、繰り返し聞いたり、インパクトが強いものが残っていきます。
また、より多く聞いた言葉の方に影響を受けていきます。
バケツに溜まった汚れた水をきれいにするにはどうしたらいいでしょう?
きれいな水を流し続ければ、いずれはきれいな水になっていきますよね。
私たちの脳でも同じことが起きます。
過去にもらった言葉がどんなに自信を失う言葉だったとしても、自分への信頼が増す言葉をもらい続けることで、誰でも変わることができるのです。
「そんな言葉、誰がかけてくれるの?」と思われるかもしれません。
でもね、その答え。 それは【自分】なんですよ!
あなたが必要としている言葉を一番かけてあげられるのは、あなた自身なんです。

初めは少し難しく感じたり、ハードルが高いように感じられるかもしれません。
でも、続けていたらそのうち慣れます。
かける言葉は、過去のあなたや、今のあなたが求めている言葉をかけてあげられるといいのですが、中には「それがわからない」という方もいるようです。
そんな方に向けて、いくつかの言葉をご紹介しておきますね。
「よく頑張ってるね(頑張ったね)」
「いつも見てるよ」
「大変だったよね」
「大好きだよ」
「いつでも味方だからね」
「ありがとう」
どうしても自分には言いにくい、と感じる方は、自分以外の誰かにこうした言葉をかけるのもいいですね。
私たちの脳は主語を理解できません。
「あなたって、いつも頑張ってるね」と言っても、脳内では「いつも頑張ってるね」だけが残り、それは自分が言われたのだと認識します。
だから、他の誰かに言っていても、結果的に自分がその言葉をもらったのと同じ反応があるんです。
自分に厳しい人はぜひ、これをきっかけに周りの人をいたわり、褒めてあげてくださいね。
自己受容から始まる他者への信頼
自分がホッとする言葉、心がほぐれるような言葉をもらい続けることで、自己肯定感は少しずつ高まります。
それは、失敗した!と思った時に気持ちの切り替えが早くなったり、誰かに反対意見を言われても感情的にならなくなったりと、小さな変化から気づくかもしれません。
変化は少しずつなので、あなた自身も気づきにくいかもしれませんが、ある時、誰かの悩み事を聞いても「解決してあげよう」ではなく、ただただ話を聞いているご自分に気づくかもしれません。
そして、私たちは自分に対して受容できる範囲、認められる範囲が広がると、自然と人に対する受容範囲も広がります。
それはそうですよね。
自分には「これ以上でちゃダメ!」って言ってるのに、他の人がその範囲を越えてきたら、目につくし、おもしろくないですもん!
それと同時に、自己肯定感が高まって、「そのままの自分でも大丈夫」って自分を信頼できたら、相手に対しても「この人はそのままで大丈夫」って思えます。
「私にはどんなことも乗り越えられる力がある」って思えたら、目の前の人に対しても「この人にはどんなことも乗り越えられる力がある」って思える。

相手をそこまで信じてあげられたら、もう「解決してあげる」なんておこがましくて言えなくなりませんか?
対等な関わりを持つ
そしてもう一つお伝えしておきたいこと。
それは、自分と相手の立ち位置のこと。 解決してあげようという気持ちが出てきている時、多くの場合は、相手より私の方が上(経験、年齢、勤務年数などなど)だという前程、想いが隠れています。
つまり、上下の関係があるのです。
だから、わが子についつい言ってしまうのも、親子という関係が上下関係に見えやすいからかもしれません。
一昔前までは、子どもであっても「神様の分身」としてみていました。
子どもであっても一人の人として接していたようです。
とはいえ、お世話をしなくては育ちませんから、それはそれは大切にしていたのだとか。
今はそうした感覚が失われてはいますが、わが子を一人の人として接している親御さんを見ていると、本人の力を伸ばす関わりをされていますね。
とても素敵だなぁ、と思っています。

私は失敗を重ねながら気づいた口ですが、そんな私に響いた一つの言葉をご紹介します。
私にとって、この言葉が本当かどうかは意味がなく、こうした視点を持ったことで、年齢や経験に関わらず敬意を持って接するよう、努められるようになりました。
あなたに響く言葉はどんなものですか?
まとめ
いかがでしたか?
相手のことを【解決してあげたい】という想いの奥の想いは、自己肯定感にも大きく関係していたんですね。
自分で自分を丸ごと受け入れられたり、自分の本当の気持ちがわかるようになると、「解決してあげたい」よりも【その人の持つ力を心から信じられる】というところにシフトチェンジされるのを感じられるかと思います。
あなたの【今】の感情を味わいきる。ぜひこれを意識して過ごしてみて下さいね。
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